ギリシャ発のクレジットリスクの台頭

ギリシャ情勢が緊迫している。デフォルト(国債の利払いや償還ができなくなること)の懸念がくすぶり、それが他の欧州諸国の財政不安に飛び火しつつある。まるでリーマンショックの再来だ。FX投資家は忘れることができないリーマンショック時の円高に備えるべきであろう。

ギリシヤ発、負のドミノ倒し蘇るリーマンショックの悪夢

9月2日、ギリシャの財政赤字削減の進捗状況を審査するためにアテネを訪れていた、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の調査団が、突如調査を打ち切って同国から引き揚げた。ギリシャが資金支援を受ける際に約束していた財政赤字の削減が、思うように進んでいなかったからである。

 

この調査が終了しなければ、ギリシャは9月に予定されている融資が受けられず、国が借金を返せなくなるデフォルトに陥る。不安が一気に高まり、週明けの5日、ギリシャ国債の価格は急落した。「ギリシャに残された時間はほとんどない」。ECBのトリシエ総裁は危機感を募らせた。

 

「わが国を破綻から救うためなら、どんなことでもやる」

 

9月10日、土壇場に追い込まれたギリシャのパパンドレウ首相は、同国北部の都市テッサロニキで開かれていた国際貿易見本市で、財政赤字を削減するための追加策を発表し、あらためて資金支援の続行を求めた。その頃、会場周辺では、国の緊縮財政政策に反対するデモ隊が警官隊と衝突、暴徒化した一部のデモ参加者に向けて催涙弾が撃ち込まれるなど、一時は騒然とした雰囲気に包まれた。

 

ギリシャの声明を受け、欧州委員会の経済・通貨担当のレーン委員は、『財政目標の達成に向けた大きな前進にっながる』と評価。EU、ECB、IMFの調査団は、9月下旬に再度アテネに人―審査を再開することになり、なんとか9月末の資金繰りはメドがっいた。

 

しかし、いったん燃え上がった危機の火種は簡単には消えない。もともとギリシャ支援に慎重な態度のドイツでは、レスラー副首相が「ギリシャの秩序だった破産の道を用意すべきだ」と発言。さらに、フィンランドやオランダがギリシヤへの資金支援の条件として担保を要求するなど、ユーロ加盟国内で足並みが乱れている。

 

ギリシヤの財政危機の火種がなかなか消えない理由は大きく三つある。第1に、緊縮財政に対する国民の反発である。同国では国営事業の民営化や公務員の削減など、国家の支出を減らす緊縮財政を進めようとしている。しかし、国民の反発は激しくデモが頻発しており、思うように進んでいない。

 

第2に、税収増が思うように進んでいない点だ。もともとギリシャは地下経済が大きく脱税が横行しているといわれる。そこで政府では脱税摘発による税収増を進めているが、時間がかかっている。第3に、財政赤字削減のための緊縮財政による景気失速である。これで税収が減少し、財政赤字は減らず、さらなる緊縮財政でもっと景気が悪化していく。まさに負の連鎖だ。

 

「債務を再編しないとギリシヤのデフォルトは避けられない」との見方が強まっている。

 

ギリシャ危機に出口なし。崖っぷちの欧州経済

ここで一つの疑問に突き当たる。

 

なぜ、経済規模がさほど大きくないギリシャの財政危機の火消しに、EUが躍起になっているのか。それは、ギリシャ一国のデフォルトが、ドミノ倒しのように欧州全体に広がる恐れがあるからだ。以下の図で示したように、もしもギリシャが破綻すれば、すでにEUから支援を受けているアイルランドやポルトガルにも財政危機が飛び火する。そこから、ギリシャと同様に政府の借金や財政赤字が大きいイタリアやスペインにも危機が拡大する。すでにイタリア国債は19日に格下げされた。

 

さらに、これら5力国に対する債権残高が大きいフランスやドイツ、英国の金融機関にも危機が伝播する。そうなれば、まさにリーマンショックの再来である。欧州は、金融危機が引き金をひく大不況に陥る可能性があるのだ。

 

もう一つ、EU、とりわけユー口加盟国がギリシヤ支援にこだわるのは、ユーロに対する信認を守るためでもある。ユーロに加盟するギリシヤの国債はもちろんユーロ建てだ。ギリシヤ0 デフォルトは、ユーロ建て国債のデフォルトを意味する。もしも、ギリシヤを見捨ててデフォルトさせる例をつくってしまえば、他のユーロ建て国債に対する不安が広がり、ひいては、ユーロそのものに対する信認が揺らぐ。ユーロの崩壊を招きかねない。

 

「欧州のソブリン危機(国債の利払いや償還ができなくなるリスク)には抜本的な解決策がない」と指摘する。考えられるシナリオは、資金支援をして時間稼ぎをしながら、各国がギリシヤのデフォルトの影響を遮断するため金融機関に資本注入し、そのうえで、秩序的にギリシヤをデフォルトさせることだ。

 

9月16〜17日に行われたEUの非公式財務相会合で、10月に予定しているギリシヤへの融資を実行することがあらためて確認された。しかし、危機が去ったわけではない。ギリシヤ支援には、ユーロ加盟各国の議会承認が必要で、9月末から10月初めにかけて行われる。12月には、合計80億ユーロに及ぶ国債の償還が迫っている。それ以前に資金繰りに行き詰まり、公務員への給与支払いなどが滞れば「デフォルトを宣言する可能性もある」。欧州経済は崖っぷちに追い込まれている。

 

EUのイメージ

 

出所Diamond FXの情報商材サイト
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